弟の不思議

偶然なのか
必然なのか
たいていのことは
絶妙なタイミングで
起こっている。


平日休みに
起こった色々なこと。


洗面台の鏡が
倒れてきたことを
管理会社に連絡したとき、
木更津でボランティアに
参加していた。


ひとやすみしたらいい。
とでも
言われたような感じだった。
蝶番の根元からもげた鏡は
自らの重みで偶然倒れかかった。


10月3日。
翌週のお休みに
管理会社が確認に来た。
「これは。。。危険ですね!」
と、目の色を変えて
写真を取り、洗面台交換の手配を
すると言い残していった。


たまたま洗面台に立ったとたんに
ううーーーんと
半身が映るサイズの鏡が
倒れかかってきて、
上腕に当たったのを支えて
事なきを得たのだった。


誰もいないところで
倒れていたら。。
鏡が割れなかったことが
不思議なほどだった。


入居して10年以上になる。
その頃から新品ではなかったので
経年劣化は否めない。
全交換になるのは
ちょっと、いや、かなり嬉しい。
災い転じて福となるか。


そんな朝。
管理会社の人が来る前に
母から連絡があった。


「あなたには、
どうしても言っておきたくて。。。」


声がどんどん詰まって
電話の向こうで泣いているのが
見えるようだった。


こんなふうになっていたのは
母の親友のご主人が
亡くなったという知らせを
電話口で聞いていた時くらいだ。


沖縄にいる母の弟が
喉頭がんで
亡くなった。


千葉が台風による災害に
見舞われてから、
何となく音信が減っていたのを
もしやとは思ったけれど、
母か父の調子が良くないのかな?
位に思っていた。


年の離れた弟なので、
私と4つくらいしか変わらない。
発達障害があって
発する言葉は少なかったけれど
いつもニコニコしていて
親類の後見のもと
彼らしく生きていた。


2年前。
おばあの眠る宮古島へ
「お忍びで」一泊旅行をした。
10 年以上前に亡くなって
その住まいを巡って数年前から
相続トラブルが起きており、
足を踏み入れ難い地となっていたが、
急遽取れたお休みで、
絶妙なタイミングで思い立ち、
宮古島に母と行くことができた。


呼んでくれたのかな。
おかげで母は
弟と再会できた。
涙を流して喜んでいた。


そして今。
涙を流して感謝された。
「あの時連れて行ってくれたから
会うことができた。
感謝したくて。。。」


あの時。
私も嬉しかった。
母を救うことが出来たと
娘として嬉しかった。


葬儀は。。と
確認すると、
相変わらずトラブルによる
絶縁状態の為、
足を踏み入れることは
しないとのこと。。


最後なんだよ?
いいの??


おばあが亡くなったときも
意識がなくなった状態での
再会だった。
あの時の涙は
後悔ではなかったか。。


トラブルを差し引いても
きっと母にとって
故郷は戻り難い地なのだ。
離れたいキモチがきっと
どこかに残ってるんだ。
戻らない覚悟もきっとあるんだ。。


おばあが見かねて
連れて行ったんだよ。。。
と私が伝えると、
そう思うしかないよね。。。
と電話の声。


心から、
私はそう思う。


執着と欲ばかりの
親戚には
任せていられない。


おばあの家だって
末息子のためだったはず。


おばあの家は
近いうちになくなるから。。。


私には
懐かしい思い出の地も
近寄り難い場所になるのか。



時をほぼ同じくして、
不思議なことがまた起きた。


義母にメールを送って
親族の死を伝えると、
返信でそちら側の親族が
2ヶ月ぶりに意識を取り戻した!
とあった。


こちらは
義父の弟にあたる人。
脳梗塞で自ら病院へ行き、
そこから意識のない状態になっていた。


こちらも末息子で
母親に可愛がられ、
自由気ままに生きていた。
その奔放さで
親族に煙たがられる事も
多々あったらしい。


集中治療室で
自発呼吸はあったものの
油断を許さない状態だったのは
2ヶ月前。
駄目かもしれない、と
親族に連絡を取っていたが、
今は椅子に座り食事をとれるまでに
回復したという。。。


まだ、
やり残したことがある!
とでも言いたかったのだろうか。


前者の母の弟は
この世での修行を終えて、
後者の義父の弟は
まだまだ修行の途中なのか。。


夜。
気仙沼からメールが届いた。

秋刀魚がようやく
水揚げされたから送ります!


金曜の夜。
届いた秋刀魚を分けようと
実家に連絡するも、
夫婦揃って電話に出ない。。
家の電話はそもそも出ない。。


久しぶりに
我が弟に電話した。


「どした?
家にいると思うけど。。
もしまた連絡つかなかったら
電話して!」
あっさりとして
久しぶりとも元気?とも言わない。 


結局マナーモードで放置してたと
折返し連絡があった。
弟には、メールした。

貴重な秋刀魚、お父さんに渡すから
心して食べて!


たまたまの、
弟つながり。


どの弟も、
今生を自分らしく
奔放に生きていた。


弟って
なんだかんだで
愛されてる。


わかってるのかな。
わかってないだろな。


そんな金曜の空も
台風のしっぽで
ワチャワチャしてた。
秋なのに、
夏がまだいる空。



SLOW DOWN LIFE

あらゆるものが加速する中で 敢えて減速して生きていく。 マイペースに。丁寧に。 不定期に綴る、 減速生活のススメ。

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